企業は人工知能への支出を増やし、投資効果を追求する中で、単発的な質問と回答のやりとりを、タスク全体を支援するAIソフトウェア「エージェント」で補強しています。
自己管理型ソフトウェアは、大量のデータでトレーニングされ概念間の関連付けを行い、新しいタスクを学習する生成AIモデルを活用して、求職者の検索、人材の分析、セールス・コールの調査、サプライヤーのオンボーディングなどを行います。オラクルは2024年9月11日、財務、人事、サプライチェーン・マネジメント、品質管理、営業、カスタマーサービスなどの分野で、50以上のAIエージェントを「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」の一部として出荷すると発表しました。
大規模言語モデルを実装したエージェントは、キーワード・トリガーや事前にコード化されたビジネス・ルールとワークフローを使用するのではなく、さまざまなソフトウェア・ツールにまたがる複数ステップのプロセスの実行、新しいシナリオへの適応、組織におけるユーザーの役割の理解、コードの代わりに自然言語のプロンプトに応答することが可能です。これは、より柔軟性がなく受信情報の認識力が低かった従来のシステムよりも、柔軟性を高め、エラーの生じやすさを軽減することを支援します。AIエージェントはビジネスの自社のドキュメントからデータを抽出することもでき、ワークフローを常に適切な状態に保つことを支援します。
一例として、オラクルのドキュメント・エージェントは、セールス・エグゼクティブが海外のベンダーの価格見積書を携帯電話で撮影し、関連情報を抽出して言語を翻訳し、購入依頼書を作成できるように支援します。その後、ソフトウェアが自動的にベンダーの請求書を処理し、支払担当者が確認できるようにサポートします。
「これは、私たちがこれまで提供できたあらゆるものを圧倒します」と、オラクルのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるスティーブ・ミランダは、顧客および業界パートナー向けに同社がラスベガスで開催したCloudworldカンファレンスにおける講演で述べました。「全体として、アプリケーションからのインプットとアウトプットという点で、これは極めて大きな変化です。」
エージェントが最新の例に過ぎないAIの改善ペースは、より多くの企業がアプリケーションとデータをSoftware-as-a-Serviceサブスクリプションやオンライン・プラットフォームに移行することを促す可能性があります。
「クラウドに移行するお客様は増えていますが、まだ移行しておらず立ち遅れているお客様もいます。」と、オラクルのアプリケーション開発および戦略担当グループ・バイスプレジデント、Miranda Nashは述べています。「新しいイノベーションで四半期ごとにアップデートを行うことのインセンティブがあるとすれば、それはAIに違いありません。傍観しているわけにはいきません。」
オラクルは今後1年以内に、「Oracle Fusion Cloud Applications」のAIエージェントを追加コストなしで提供する予定です。このエージェントでは、オラクルがパブリック・クラウド上でホストする大規模言語モデルと、企業独自のドキュメントから情報を抽出し、LLMにコンピューター・ユーザーが行ったことの履歴を継続的に供給して、回答のコンテキストを増やす検索拡張生成(RAG)と呼ばれる技術を組み合わせています。「これらのLLMから一貫性のある信頼できる結果を得ることは容易ではありません」と、Nashは述べます。「お客様が軽視できることではありません。」
ビジネス・プロセスにそのまま組み込まれ、誰が使用しているかを認識し、時間のかかる作業の正確な自動化を支援することができるAIは、ビジネスや投資家がAIへの巨額の投資が実を結ぶことの証明を求めている今、朗報となる可能性があります。Goldman Sachsによると、テクノロジー企業と公益事業は今後数年間で、データセンターやチップを含むAIインフラストラクチャに1兆ドル以上の投資を行う予定です。これまでのところ、ダウンストリームの生産性向上は投資に見合っていません。
「これは、私たちがこれまで提供できたあらゆるものを圧倒します」
Boston Consulting Groupが7月に発表した北米と欧州のITバイヤー企業330社を対象とした調査によると、ビジネスは2024年にIT全体の支出が平均3.3%増加するのに対し、AIへの支出は30%増加すると予測しています。BCGが「高成熟期」のAI導入企業と呼ぶ回答者の30%以上が、今後3年間の投資に対するリターンは10%以下と見込んでおり、テクノロジーの導入がそれほど進んでいない企業では、さらに悲観的な見通しとなっています。
従業員によるタスクのガイド、ウェブ検索、従業員からのフィードバックの収集、プロセス全体にわたる情報の保持を支援するエージェントは、ユーザーがLLMによく送信する単発のクエリよりも、企業がデータからより多くの価値を得ることを支援する可能性があります。また、テクノロジー企業が長い間、アプリケーション、PCのオペレーティング・システム、携帯電話に組み込んできたビジネス・ソフトウェア自動化ツールと生産性アシスタントに、高度な更新をもたらす可能性もあります。「基盤モデルがなければ、こうした機能の実現には、システムを統合するための幅広い手作業や、異なるソフトウェア・システムからの出力を照合するための面倒な手作業が必要になります」と、コンサルタント会社のMcKinsey & Co.は7月のレポートで述べています。
McKinseyによると、生産性向上の一例として、生成AIエージェントは、銀行が信用リスクメモを作成する数週間に及ぶプロセスを20%から60%短縮することを支援する可能性があります。AIエージェント・ソフトウェアは「従来は導入が困難で、手間のかかるルールベースのプログラミングや、機械学習モデルに対する極めて特殊なトレーニングが必要でした。生成AIはそれを変えます。」
テクノロジー企業はビジネス・ソフトウェアに自己管理型エージェントを組み込んでいます。Microsoftは、アジェンダの管理、フォローアップの追跡、従業員が同僚の意見を必要としている時の通知を行うことができるTeamsミーティング・ソフトウェアの副操縦士を含む、生産性アプリケーションにエージェントを組み込んでいます。Googleは、カメラを通して見た物体および図面に関する質問に答えることができるスマートフォン・アシスタントを披露しました。
オラクルは、財務管理、人事、マーケティング、セールス、カスタマーサービス、サプライチェーン・マネジメントなどの「Oracle Fusion Applications」に蓄積された幅広いエンタープライズ・データを活用することで、自社製品の差別化を行っている、とNashは指摘します。オラクルのアプリケーションはOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で実行されるため、お客様はエージェントで強化された業務アプリケーション、クラウド・インフラストラクチャ、データベースを1つのベンダーから調達することができます。また、パートナー企業であるCohereのLLMをFusionエージェント向けにホスティングし、ユーザーが適切な言語を使用し、システムが達成しようとしていることと一貫性のある結果を得られるように支援するオンライン・サービスを提供しています。
たとえば、Fusionエージェントは、財務部門による予測の作成と追跡の支援、人事部門の求人票とオファーレターの作成支援、営業担当者のアカウント情報とアップセル商談のまとめ支援などを行うことができます。将来的には、人事部による人材レビューの実施や従業員ミーティングの設定や必要な機器の修理に関するサプライヤーの見積もりの調達などが可能になります。エージェントの構築を自社で行うことを望む企業では、オラクルのOCI GenAI Agentsテクノロジーを利用することができます。
将来の製品に関する免責条項
前述の事項は、オラクルの一般的な製品の方向性の概要を説明するものです。情報提供のみを目的としており、いかなる契約にも組み込むことはできません。これは、何らかの資料、コード、または機能を提供することを約束するものではなく、購入を決定する際の根拠にするべきではありません。オラクル製品について説明されている機能の開発、リリース、時期、価格は変更される可能性があり、Oracle Corporationの単独の裁量により決定されます。
将来の見通しに関する記述
オラクルの将来の計画、見通し、信念、意図に関する本記事内の記述は「将来に関する記述」であり、重大なリスクや不確実性が生じる可能性があります。こうした記述はオラクルの現在の見通しと実際の結果に影響を及ぼす可能性があり、実際の結果が大きく異なる可能性があります。これらの記述およびオラクルのビジネスに影響を及ぼすその他のリスクに関しては、Form 10-Kでのオラクルの最新のレポートならびにForm 10-Qの「Risk Factors」など、米証券取引委員会(SEC)に提出されているオラクルの報告書に記載されます。この文書は、SECのウェブサイトまたはオラクルのウェブサイトhttp://www.oracle.com/investorからご覧いただくことができます。この記事に含まれる情報はすべて、2024年9月11日現在の情報であり、オラクルは新たな情報や将来の出来事を踏まえて記載内容を更新する義務を負いません。
生成AIとその他の人工知能技術は、従業員にとって業務アプリケーションをより効果的にし、生産性の向上を支援します。
「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」がAIを活用してカスタマー・エンゲージメント、人事、サプライチェーン・マネジメント、財務を改善する方法をご覧ください。